庭園、造園、エクステリア工事の設計・施工

English

会長メッセージmessage

私は長野の田舎で育ち、道沿いには必ず土手があった。細い面積でも緑がずーっとつながっている。連続した土はとても大事だ。良い土には菌類がたくさん住んでいる。緑、緑というけれど、北海道大学の助教授の話では、良い土には緑の3倍、空気を浄化する力があるという。昔、住宅街に囲まれた畑を、冬の作物が無く土がむき出しの時に歩いたことがあるが、「ここは空気がまったく違う。生きた土にはこれだけの効果があるんだ」と実感した。庭づくりにおいても、すべてコンクリートなどで覆ってしまうのではなく、土を残すことがいかに大事か、お判りいただけるだろう。

雑木林のように、毎年落ち葉が積もり、有機物が供給され続けている土は、生物がたくさん住む「生きた土」「有機質の土」を維持できる。昔の農家が雑木林を所有していたのは、落ち葉などを有機肥料に利用するためだった。一方、化学肥料や消毒を続けた土は、土の中の生き物が死に絶え、「砂漠化した土」になる。土としての機能を失い、有機質の土ではなくなってしまう。その事実が世間にも浸透したため、有機栽培が注目されるようになったのだ。

では、私たちに何ができるのか?私は「雑木林のサイクル」を庭に再現することが、生きた土をよみがえらせる方法だと考えている。自然のサイクルを庭に取り戻せばいい。雑木林は水や肥料をやったり耕したりしなくても枯れることなく健やかに続いていく。自身の枝葉が地表を覆って腐葉土となり、有機物が巡り続ける。表土は光が遮られ、雑草が生えにくい。生き物がたくさん住み、彼らに耕され、肥沃でふわふわの土となる。自然のサイクルのある庭では、落ち葉や枝をどこかに捨ててしまうのではなく、腐葉土として再生し、それを土の表面に撒く。土に混ぜるのではなく、表面に撒くことが肝心だ。



海外でガーデニングの勉強をされる方が多くいるが、それよりも日本の庭園や、日本の在来種にもっと目を向けたほうがいいと思う。江戸時代からの庭づくりをよく観察すると、直線と曲線をうまく使ってつくられている。最近は洋風の家が多いが、和の素材で洋風の庭をつくり上げることもできる。和風とか洋風とか、そんなことにこだわらなくて良い。その場所にあった庭を設計することが大切だ。

海外から輸入された植物を利用すると、日本の地域風土に合わずに枯れてしまうことがある。職人の植物の扱い方、植え方によって植物が枯れてしまうこともある。日本の在来種であれば、土地になじみ、枯れることが少ない。どうしてこんなに良いものが日本にあるのに使わないのか?と疑問に思う。「枯れたら植え替えればいい」「植えて引き渡したら終わり」ではなく、メンテナンスや持続性を考える責任がある。私たちは、使ったことのない植物を使うときは、必ず苗を数本入手して、私どもの土地に植えて実験を行う。例えば九州や沖縄でよく使われている胡麻樹を初めて使うときには、最低気温がマイナス5度になるような土地に植えて様子を見た。枯れるだろうと予想していたが、意外にも寒い土地にもなじみ、元気に育っていく樹種もあることがわかった。



ものすごく緻密な平面図が無いと、良い庭はできない。私は図面を見れば、良い庭になるかどうか、経験上わかる。それぐらい、図面というものは大切である。私たちは鳥のように空から庭を見ることはできないから、庭の大小にかからわず、施工する際に一番大事なのは平面図のバランスだ。

単なる平面図を立体として描くのが職人の仕事だ。現場では現物・原寸ですべてを判断することができる。職人が図面と現場を目で見て立体をデザインすることができるかどうか。すべて平面図のバランスの結果がでてくる。しかし、図面をどんなに緻密に書こうと、現場の職人の努力とセンスがなければ、設計者が思い描いた通りの、あるいはそれ以上の仕上がりにはなってこない。これは私が会社勤めで設計をやっていた時代の最大の悩みだった。「私が設計した通り、いや、以上の仕上がりにしてほしい!」それには自分で設計から施工までやるしかない。これが会社を辞めて独立する原動力になった。

設計には経験と個性がでる。コストや現場の条件などの様々な問題をクリアしつつも、やはり個性がなければつまらない。新しい試みを提案し続けるべきだと考えるし、私はそうしている。同じことの繰り返しでは自分も飽きてしまう(笑)「小さい庭だから、こんなもんでいいや」なんて考えるのはつまらないことだ。我々の培ってきた知識やノウハウを使って、新しいことを提案し続けていく。

会長・作庭家  林 好治

経歴profile

林好治

  • 林庭園設計事務所 会長・作庭家
  • 林 好治

  • 1951年長野生まれ。東京農業大学農学部造園学科卒業後、ハウスメーカー造園部に7年間勤務。設計、管理が主であったが自分の意とする庭を完成する為には、施工部分の強化が必要と感じ、勤務のかたわら土日の休日を職人の親方に師事し職人となる。1983年、有限会社林庭園設計事務所設立。NPO法人日本公開庭園機構理事。現在に至る。
資格
  • 1級造園施工管理技士(国土交通省 第7713082号)
  • 1級技能士(労働大臣 造園第3号)
  • 職業訓練指導員(東京都知事 第27732号)
主な経歴
  • 1985年4月~現在 都立職業訓練所 講師
  • 2001年4月~2015年 日本樹医学会スクーリング講師
  • 2005年4月~ E&Gアカデミー講師(エクステリア&ガーデン)
  • 2005年4月~ 八王子勤労者福祉会館講座担当
  • 2005年4月~ 八王子シルバー人材センター講座担当
  • 2005年4月~ 日野市シルバー人材センター講座担当
  • 2005年4月~ 町田市シルバー人材センター講座担当
寄稿文
  • 主婦と生活社発行『ガーデンデザインシリーズ』寄稿
  • 日本樹医学会発行『緑風通信』2001年4月~2015年 隔月寄稿

樹木医とは

伐採してしまう、その前に

樹木医、という言葉を聞いたことがあるでしょうか?平たく言うと、木のお医者さんです。私たちは痛いところがあれば手当をします。木も私たちと同じ生き物です。家を建てた時、あるいはもっと前からそこに立ち、共に時を重ねてきた樹木。そんな大切な木が、なんらかの理由で元気がなくなったり、折れたりすることがあります。「できれば切りたくないけれど、倒れたら危ないし、見栄えも良くない。なにか良い方法はないかな?」そんなご相談にお応えし、木の手当て・再生の手助けをするのが樹木医です。

手当前の柿の木

手当前の柿の木

悪いところを取り除いた状態。幹が空洞になり、半分ほどになってしまいました。

手当中の柿の木

手当中の柿の木

木の空洞の部分にピートモスを入れ込み、包帯を巻いてしっかり保護します。

手当後の柿の木

手当後の柿の木

新しい葉が出てきました。包帯を外して確認すると、新しい根が生えています。秋には実をつけることもできました。

2年後の柿の木

2年後の柿の木

木が力を取り戻し、葉を茂らせています。こうなれば一安心です。

樹木のことなら何でもご相談ください

林庭園設計事務所では、庭が完成してからも、景観の維持だけでなく、木の健康も考えた丁寧な剪定をしていきます。木の元気がない、手入れ方法がわからない、そんなときもご相談ください。各校で指導員を務める弊社会長の林が、ご希望に応じてお客様のお庭に、雑木林のサイクルを取り入れた管理方法をご指導させていただくことも可能です。

tel 042-622-8840

9:00~17:00(日曜・祝日休み)

メールでのお問合せ

作品ギャラリ

作品ギャラリーGallery

View More