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羽村市 S様
以前から林庭園でお庭づくりをさせていただいているS様邸のリフォーム工事です。住宅の建て替え工事に伴い、お庭の工事もご依頼いただきました。建物の設計段階からご相談をいただいており、敷地に対して建物も外構も斜めになるように設計しています。基本的には枯山水の庭ですが、デザインは完全にお任せいただいており、作庭家 林好治の集大成とも言える独特の世界が広がります。水琴窟、時雨垣、版築仕上げの壁など、随所にすばらしい様式美を設えています。
敷地に対して正面入り口を斜めに配置することで、入り口から玄関までの歩く距離を長くとり、家の大きさに見合った奥行きのあるエントランスを作り出しています。
正面入り口を入ると広がる、一枚板と瓦を使った設えで、訪れる方を出迎えます。
使っている瓦は建て替え前の家に使われていたのをとっておいたもので、庭の造形として美しく配置しました。
古材についての特集記事を読む玄関から茶室の庭に続く空間に憩いのスペースを設けました。随所に使っている小石はすべて住宅の建て替え時にこの土地から出てきたものです。
茶室前の空間に、版築仕上げの壁を作りました。版築とは、木枠の中に土や小石、藁や炭などの材料を流し込み、棒で突き固めて層を重ねて作る仕上げのことです。日本でも古来から用いられており、奈良の法隆寺でも、版築工法の壁を見ることができます。
時雨垣は伝統的な竹垣の一種です。竹の穂先を使い、突然降り出した夕立ち、時雨をイメージした、粋な造りの竹垣です。寺院や茶室の庭に多く用いられる伝統的な垣根です。
多摩地区の間伐材を使った木組みの塀です。黒く塗ることで落ち着きのある雰囲気を出しています。
主庭は枯山水ですが、雨が降った際には水の流れを感じることもできる箇所も作られており、水琴窟の音色を楽しむことができるようになっています。 ※枯山水(かれさんすい)とは、水を用いずに岩や砂などで山水を表現した日本庭園の様式の一つです。石庭とも呼ばれ、 京都の龍安寺や大仙院などの庭がよく知られます。
こちらは水琴窟です。左の石積の手前のくぼみに水琴窟があります。人が入れるほどの穴を掘り、常滑焼の甕(かめ)をうつぶせにして埋め、底に溜まった水溜まりに水滴が落ちることで涼やかな音を奏でます。雨の日には自然に水が流れ込み、水琴窟の澄んだ音がします。晴れた日にも右の黒い石に水栓があり水が出せるので、いつでも水琴窟を楽しむことができます。石積みや流れに使った石は、建物の建て替え時に土地から出たものを使っています。
水琴窟の特集記事を読むこれぞ林庭園という一枚板を使ったテーブルと、木のイスです。
敷地境界に対して外構を斜めに引いて設置することで、外の空間にゆとりが生まれ、閉鎖感のない空間を創造しています。来客用の駐車スペースも確保しています。
これぞ林庭園という一枚板を使った裏門です。空間を完全に壁で囲むのではなく、板と枕木で緩やかに仕切りを作っています。