古材を生かしたデザインの巧み
多摩地区にある個人邸の外構・作庭に見る、古材から生み出すデザインの巧みをご紹介します。
古材の趣
古家の解体時に出た瓦や玉石を、花壇や境界線、裏庭へ向かう通路へのあしらいに惜しみなく用いています。元からあった木を囲む部分には、モルタルを使わずに石積みをする技術を用いていますが、近年はこの技術で施工できる職人は少なくなっているようです。
奥行きや風通しを生み出す工夫
建物の外の空間を生かす工夫を随所に行っています。立派な玄関には、それに見合った長さのアプローチを設けるのが良く、直線で距離をとることが難しい場合には、門を横向きに設置し、歩く距離を稼ぐことで空間の奥行きを演出します。内側から見たときにも、外部から見たときにも、閉鎖的にならないよう、道路に対して塀を斜(はす)にデザインしたり、すべて塀で覆わず垣根にして明るさと開放感を出すなど、工夫を凝らしています。また、建物と平行なデッキは建物との一体感がなくバラバラに見えてしまうので、台形にしたり、高低差をつけるなど、奥行きを感じさせています。
変化という創造
家を立てる前から作庭の相談を受け、景観のみならず、屋外の動線、使い勝手、大きな木の保全など、ご希望の聞き取り、ご提案、話し合いを重ね、プランを練り上げていきます。しかし、実際に工事に取り掛かってみると、現実的ではない部分が生ることがあります。そういった部分については経験を生かし、現場で作りながら、より良い形や素材、デザインを創造していきます。